2014年3月25日火曜日

京都国立博物館「平成知新館」

建て替えが行われていた京都国立博物館 (京都市東山区)平常展示館が新たに京都国立博物館「平成知新館」となり、9月13日より開館する。
開館に先駆け、京都国立博物館「平成知新館」が報道関係者らに公開された。(3月18日)
京都東山に向かって設定された正門から本館へと続く東西軸に対し、平成知新館は敷地南側に位置する蓮華王院(三十三間堂)の南大門の中心線から、博物館南門の中心を通る歴史的な南北軸を想定し、その軸線上に新しい出入口を定め建築を配置した。
平成知新館入口上から。正面奥に南大門が見える。

平成知新館は敷地を掘り下げ高さを抑えている。蓮華王院側から京都国立博物館を見ると、京都国立博物館本館、平成知新館共に高さが抑えられているのが分かる。
建設工事に先駆け発掘調査が行われた。その際に方広寺の遺構が発見された。遺構は石垣の南辺基礎部分と、回廊の柱跡、そして南門跡があり、石垣は平成知新館前に再現、柱跡は印が付けられた。
建物全体を耐震構造とし、展示ケース毎にも免震装置を設置。小さい揺れを建物で、それ以上は建物と展示台で揺れを吸収する。
 展示台免震装置
免震装置にカバーがついた通常の状態

展示ケースはドイツ・グラスバウハーン社製。高い気密性能に加え、極力、展示ケースの存在を消す、ケース毎の意匠を統一し、汎用性を高める事が求められた。
環境面では、LED照明、太陽光パネルを採用。CASBEE評価Aランクの基準を満たしている。
BEMSの導入によって、建物全体のエネルギー消費量を低減している。

設計を行った谷口吉生氏は「京都国立博物館「平成知新館」設計を始めて16年が経った。博物館の設計に基本は、保存することと見せる事という相反することを両立する事。
京都国立博物館「平成知新館」は設計のほとんどは16年前に設計したもの。古くも新しくもない建築であり、どの時代でも生きて行ける建築。私の建築の特徴は、敷地の条件にいかにかかわっていくか。自然や歴史といかに関係を作って設計するかを考えて設計している。
京都国立博物館「平成知新館」では、京都らしい建築を作る事を考えたが、単に和風にするのでなく、現在の日本にふさわしい現代建築として設計した。
本館の建築はルネサンス期の建築の特徴として非常に強い対称性を持っているが、これに対し、日本的建築は非対称であり「平成知新館」では全てを非対称にしている。乳白色の硝子は間接的な光の差し込みで、障子的表現にした。直接的な表現はではないが、日本の風土文化にふさわしい建築を設計した。
内部に関しては、博物館は展示物が入って完成。これは床の間のようなもので、床の間の空間は非常に光の関係などを大切に考えられた何もない空間。そこに物が飾られる事で空間が完成する。博物館の展示も同じように、展示物が飾られて初めて生きる。と考えている。」と述べた。




0 件のコメント: