2017年4月28日金曜日

「坂 茂:プロジェクツ・イン・プログレス」関連 講演会開催

TOTOギャラリー・間で開催中の展覧会「坂 茂:プロジェクツ・イン・プログレス」関連の講演会が、4/19、千代田区にある有楽町朝日ホールにて開催された。(展覧会レポートはこちら
講演のテーマは「作品づくりと社会貢献の両立」。前半は、氏がこれまでに携わってきた作品の解説、後半は阪神淡路大震災以降、国内外を問わず行なってきた災害支援についての話をした。氏の軽快な語り口に、会場にはたびたび聴講者の笑い声が響き、質疑応答でも多くのやり取りが行なわれた。著書『坂 茂の建築――材料・構造・空間へ』のサイン本の販売も行なわれ、講演会の前後には多くの人が列に並んだ。



展覧会は7/16まで。

2017年4月25日火曜日

TOTOギャラリー・間「坂 茂:プロジェクツ・イン・プログレス」

TOTOギャラリー・間では4月19日(水)より開催されている「坂 茂:プロジェクツ・イン・プログレス」のプレス内覧会が開かれた。

同ギャラリーでは1999年に一度坂茂氏の個展を行っており、今回は18年ぶり2回目の個展となるという。

本展は「展覧会でしか見れない表現」にしたいという坂氏。雑誌等で未発表の最新の作品を選んで展示した。
これまで安価で施工性に優れた「紙管」を使い、紙の建築の可能性を切り開いてきた坂氏だが、今回の展示会では「木」という素材の特徴や可能性に注目し挑戦した様々な大規模プロジェクトや、熊本の仮設住宅・ネパール復興プロジェクトなど、氏が尽力する人道支援活動にもフォーカスした内容となっている。

また本展が初のお披露目となった複数のプロジェクトも、模型や実寸大のモックアップを使うことで臨場感溢れる展示がなされている。


 会場3階には4月22日にオープンとなったパリの「ラ・セーヌ・ミュジカル」の模型が中央に鎮座し、本展の目玉となっている。

こちらは約1,200人収容のクラシック音楽専用のホールを中心とした複合音楽施設で、氏のこれまでのキャリアの中でも最大規模となるとのこと。

内部を説明する坂茂氏

PFI方式の国際コンペとして募集され、フランスの西の玄関口としてシドニーのオペラハウスのようなモニュメンタルなものをとの要求に対し「形で遊んでモニュメンタルなものをつくるのは得意ではないので、提案条件の中にある3000㎡のソーラーパネルを屋根の上に隠さず、船の「帆」状にし太陽の動きに連動することで、時間・季節ごとに違った姿を見せ一つのモニュメンタルを表現した」という。




さらに会場にはコンペで実際に提出したコンセプト映像・完成イメージ映像・竣工写真や、ホール内装のモックアップが展示されている

ホール内で使われている紙管を使った椅子

イタリア製の玉虫色の特注モザイクタイル。見る角度によって色が変化する。

周辺のグリーンベルトに合わせた緑色のソーラーパネル。


ホール内装に使われたべニア合板と紙管を組み合わせた天井。
曲げ方・径を変えることで音響機能を調整した。


中庭に出ると、熊本地震の仮設住宅、ネパールの復興プロジェクト、竹田市クアハウスの屋根のモックアップが展示されている。

熊本木造仮設住宅のモックアップ。
住戸間に収納スペースを付けることで防音がなされている。


ネパール震災後の復興住宅・学校に使われている壁ユニットのモックアップ。
地震によるレンガの瓦礫を木造フレーム構造のドア枠に埋めて再利用。

 大分県竹田市の温泉利用型健康増進施設(クアハウス)のレシプロカル構造の屋根のモックアップ。
本展時では、滋賀県立大学と慶応大学SFCの学生が共同で施工した。


 4階へ上がると、今夏竣工予定の富士山世界遺産センターやスイスの某時計会社本社、慶応大学SFC教育研究開発棟など、模型と実寸大モックアップから1/10サイズのモックアップが展示され、氏の現場そのものが展示され、雑誌や本などの印刷媒体では伝わらない情報を得ることが出来る。


4階展示スペース

富士山世界遺産センター 木格子のモックアップ 1/1

慶応大学SFC教育研究発表棟 構造フレーム(PHPパネル)モックアップ 1/10

建築関係者だけに理解できる図面ではなく、一般の方でも理解していただけるような形の展示となっている。

展示は7月16日(日)まで

2017年4月7日金曜日

“コモンガーデン付き”賃貸住宅「ル・シュバル」リノベーション竣工内覧会

これまで数多くの物件のリノベーションを手掛けてきた株式会社ブルースタジオは、同社の企画・設計監理による東京都東久留米市の賃貸集合住宅「ル・シュバル」のリノベーション工事の竣工にあたり現地内覧会が開催した。

「ル・シュバル」全景

建物は1990年竣工の鉄骨造地上3階建ての賃貸共同住宅で、これから子育てを考えている夫婦層向けの住宅となっている。各フロア毎に同じ間取りで改修が施され、12戸中5戸のリノベーション工事が竣工している。

(株)ブルースタジオ 大島芳彦氏

3階の住戸は、フラットだった天井を撤去することにより、天井高が最高部で3,100mmまで高くなり、ペントハウスのように開放的な室内空間を実現している。




2階の住戸では、インナーバルコニーを設けることにより今まで洗濯物を干す程度でしか使えなかったバルコニーが、お茶をしたりブランチを楽しんだりと「だんらん」の場になった。



2階住戸のインナーバルコニー
デッキ部は約6㎡あり、ビニールプールがおける広さを確保


また1階住戸には今後専用庭を作り、それぞれのフロアだから出来る空間に設計されている。

今回の改修工事に合わせ、「ル・シュバル」のオーナーが所有する隣接地を、地域住民が自由に利用することができる「コモンガーデン(私設公園)」として街にひらき、「家族とだんらん、地域とだんらん」のコンセプトのもと、地域で育てていく。地域愛を深めるような地域住人間の交流を促進することで、エリア価値を向上させ、人々に選ばれるまちづくりとしての役割を担うという。


 「コモンガーデン」全景




この「コモンガーデン」には、近隣住民も使える菜園や子供たちが自由に地面に落書きのできるらくがき広場、地域の人々がワークショップで作り上げた小屋は「まちライブラリー」の仕組みが取り入れられ、読み終えた書籍を持ち寄り、地域で共有することで本をきっかけとした新たな交流も生まれることが期待される。


 地域のワークショップで作られた小屋
「まちライブラリー」として利用される本棚


「ル・シュバル」は現在入居者を募集中
詳細はhttp://www.bluestudio.jp/rentsale/rs003500.html

2017年4月3日月曜日

銀座ソニービル、大規模リニューアル工事へ。半世紀の歴史に幕。

331日、半世紀に渡って愛されてきたソニービルが大規模リニューアル工事のため一時閉館、営業を終了した。

1966年に数寄屋橋交差点にオープンしたソニービルは、建築家の芦原義信氏による「花びら構造」と呼ばれるらせん状設計や、日本一早いエレベーターの採用、歩くと音が鳴るドレミ階段など、ユニークなコンセプトの複合ショールームとしてスタート。戦後の象徴、そして銀座のランドマークとして多くの人々に愛されてきた。

この日はソニービル脇のソニー通りを封鎖して特設ステージが出現。平井一夫社長が駆けつけ、東京スカパラダイスオーケストラとともに演奏するフィナーレイベントが開催された。
解体後は、「街に対して開かれた施設」というコンセプトのもと、2018年夏に「銀座ソニーパーク」としてリニューアル。「お世話になった銀座の街の人々、そして世界の人々に銀座のオープンスペースを提供したい」と平井社長。フラットな空間として2020年秋まで営業した後、再びビルの建設を開始し、2022年秋には新たなソニービルとして営業を再開する。「オープン当時はエレクトロニクス事業が主だったが、今は音楽などのエンターテインメントもある。新しいビルでは多様なソニーの楽しさを提供したい」と意気込みを語った。
 ▲平井社長(中央)とこの日MCを務めたジョン・カビラさん(社長左)、
フィナーレを盛り上げた東京スカパラダイスオーケストラのメンバー





■銀座ソニーパークプロジェクト